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2020年6月

2020年6月15日 (月)

ポスト・コロナ考② ソーシャル・ディスタンス(Social distance)

5月12日は、世界看護の日であり、白衣の天使と称されたナイチンゲールの誕生日であり、今年で生誕200年にあたる。現代に生きる私達は、彼女の200年前の功績を、コロナという未曽有の難局の中で改めて認識することとなった。彼女の功績とともに、コロナ禍のリスクの中、医療現場で懸命に使命を果たされている医療従事者に対して、感謝してもしきれない思いである。

そのナイチンゲールは看護師としてクリミア戦争下の中、負傷した兵士を敵味方なく懸命に治療看護にあったことは誰もが知るところだが、彼女はまた数学者でもあったことを知る人は少ないのでは。収容先の軍の病院施設の不衛生により死んだ兵士が、戦闘の負傷で死んだ兵士よりも多いことを数理統計学を駆使して証明しつきとめた。そしてデータをグラフ化し陸軍の衛生改革の必要性を女王に進言したとされている。

彼女がもっとも重視したとされるのは、「換気」と「密の回避」である。彼女の慧眼は、200年後の今も、コロナ対策で苦闘する対策の土台となっている。ところで「人との距離」については、様々な研究がなされているが、文化人類学のエドワード・ホールは、人と人との距離について、近い順に「密接距離」「個体距離」「社会距離」「公衆距離」と分類している。密接距離とは、抱き合うほどの近さで、個体距離とは、お互いに手を伸ばせば触れあえ細かい表情も読み取れる近さ社会距離とは、数メートル離れ、相手には触れられないが事務的な用件は伝えられる程度の距離公衆距離とは、演説を聴くくらいの遠さ、としている。

しかし彼がこの理論を提唱した時代は1970年であることから考えれば、現在との「人との距離」もおける概念に大きな違いがある。すなわち、インターネット等、加速する情報通信技術が進展する中での距離感の違いだ。地球の裏側の友人とのネットを通しての会話は、物質的距離では一番遠い距離でありながら、生命的距離では最も近く密接距離である。逆にお隣さんでありながら縁遠い関係も多くなってきている。心理学の世界でも、パーソナルスペースというように、人との距離については空間の概念も加味しているように、距離=空間の関係について更なる研究が望まれるところだ。

もともと日本民族のルーツから見ても、集団生活を基本としてきただけに、ソーシャル・ディスタンスを確保することによるコミュニケーションの歪と変貌による課題も、今後顕在化してくるものと考えられる。ポストコロナにおける価値観の転換が求められる。次回は、コミュニケーションの変貌をテーマにしたい。

2020年6月 9日 (火)

ポストコロナ考① スピード(Speed)

非常事態宣言が解除となり、これまでの感染拡大に一定程度のブレーキがかかり、平時の日常生活にもどりつつある今、アフターコロナポストコロナという視座での主張や専門分析等の情報が出てきている。今後相当の間、このテーマは、人類にとっても国家にとっても、そして私達一人一人にとっても避けて通れない課題であり、未来を切り開くための試練でもあることに違いない。そうした問題意識から、日々徒然に思うところを不定期に「ポストコロナ考」としてブログにて発信していきたいと思う。

第1回目は、「スピード」を視点に置きたい。歴史的なパンデミック(世界的大流行)となっている新型コロナウイルスからの挑戦に対し、人類は応戦によって克服しなければ未来はないといっても過言ではない。こうした「挑戦と応戦」の論理を提起したのは、20世紀最大の歴史学者アーノルド・トインビー氏だが、博士は「文明は応戦することで新たな文明を創造してきた」と地球上に誕生してきた文明の盛衰について論じている。その応戦ということを考える際、具体的どのような視点が必要であるかと言えば、私見であるが「対応力の尺度となる速度」について光を当ててみたい。

私が1990年に市会議員に初当選してすぐに、出会った政治学の書物に、アメリカの未来学者であるアルビン・トフラーの「第3の波の政治」がある。第3の波(情報革命)を提唱した未来学者アルビン・トフラー氏は、以前から時代の変化の認識と、その対応力について指摘している。第1の波(農業革命)、第2の波(産業革命)、第3の波(情報革命)によってもたらされる変化の波は、第3の波の変化が主流になりつつも常に渾然一体となって進んでいることを提起してきた。彼はすでに死去しているが、もしも今回の新型コロナウイルス感染拡大に直面していたなら、さらに第4の波(人間革命)を提唱しているかも知れない。

ともあれトフラーは、20年前にこうした変化に対する対応力が重要な視点であることを、彼の著「富の未来」の中で指摘していたことは注目に値する。

彼は、それぞれの組織の対応力をスピード(速度)で表現して、時速100km(企業)、時速90km(社会団体・非政府機関)、時速60km(家族)、時速30km(労働組合)、時速25km(官僚機構、規制機関)、時速10km(公教育制度)、時速5km(国際機関)、時速3km(政治構造)、時速1km(法律)であるとしている。

今の時代の流れが例えば高速道路を時速100kmで走っているとすれば、その運転手も100kmに即した運転を余儀なくされることになるが、その際、政治機構や行政機構が時速3kmでの運転をしていれば時代から取り残されるのは自明の理である。トフラーが「富の未来」を著した時代と異なり、時代は更に加速度を増している中、今を生きる私達すべてに「応戦」が求められている。

スピード化の時代を考えれば、対応力が遅い組織は変革や改革が余儀なくされることは当然である。旧態依然の対応力では、対応しきれない時代であることを速度が遅い組織ほど認識していないのが不幸である。応戦とは対応力であることは言うまでもないが、さらにリーダーの決断力・実行力とも言える。

2020年6月 2日 (火)

コロナ対策補正予算 可決成立! いち早く現場に!

京都市の新型コロナウイルス感染症対策は、令和2年1月末の発生から今日まで、感染拡大防止対策、市民生活や京都経済の下支えを2本柱に、2月の補正予算で11億2000万円、令和2年度当初予算で30億2500万円、4月補正予算で2288億5300万円、国、府と連携しながら進めてきました。そして、5月市会に上程された補正予算(第2弾)で42億2700万円、補正予算(第3弾)で28億1200万円を国の地方創生臨時交付金を活用し予算化。これらすべての議案が6月2日京都市会で可決成立しました。今現在、困窮し切迫し支援を必要とされている方々へ一刻も早く届くよう最大限の努力を願うものです。

今回の5月補正(第2段、第3弾)で盛り込まれた主な事業は、PCR検査の充実と相談体制の拡充、妊婦を対象としたPCR検査費用の支援、医療機関に対する支援金の創設、窓口混雑解消に係る郵送対応費用、障がい者就労支援事業所におけるテレワーク導入支援、障害福祉分野のICT導入モデル事業、保育園における健診再開に向けた環境整備、妊婦に対する布製マスク配布、総合支援学校スクールバス感染症対策、GIGAスクール構想の早期実現、市立高校におけるオンライン学習環境整備、修学旅行の日程変更や中止に伴う手数料への対応、学校園の児童生徒健康診断における消毒液・医療用手袋の確保、教育施設における消毒液の確保、飲食店デリバリーサービスの利用促進、市民による京都魅力再発見事業、京都市文化芸術活動緊急奨励金の拡充、障害者就労支援施設利用者への工賃支援、ホームレス自立支援事業の充実、京都市中小企業等緊急支援補助金の充実、伝統産業つくり手支援事業、和装産地支援事業、商店街緊急支援補助金、スタートアップによる新型コロナ課題解決事業、中小企業等支援策活用サポートセンターの設置、学生の学びの環境創出事業、と多様なニーズにきめ細かく対応した予算となっています。

6月2日の最終本会議では、公明党京都市会議員団を代表し、吉田孝雄議員(伏見区選出)が賛成討論を行いました。

吉田孝雄議員の賛成討論の全文…yoshida20200602.pdfをダウンロード

その他、本会議では、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をはじめ、地方に対する財政措置の一層の充実を求める意見書」「新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けた医療機関等に対する支援の拡充を求める意見書」の意見書が可決しました。

さらに、政務活動費を二重計上していた森川央議員に対する問責決議が可決されました。

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