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2024年1月 7日 (日)

ツーリズム ~次の京都観光の道筋~

観光政策の分野で多用される言葉として「ツーリズム」があり、持続可能な観光を目標とするサスティナブルツーリズムや、レスポンスツーリズム等、観光や旅行という理念的な概念の英語表記や、弊害としての観光の意味に使われているオーバーツーリズムに加え、近年、観光や旅行の具体的な目的等の方向性を示す表記として、国や自治体の観光戦略の中で、その地域の特色を活かす観光戦略に様様な名称が使われるようになっている。

●サスティナブルツーリズム(持続可能な観光)

●オーバーツーリズム(観光公害)

●レスポンスツーリズム(責任ある観光)

●ストレスレスツーリズム(ストレスのない観光)

●グリーンツーリズム(農村等での休暇滞在観光)

●エコツーリズム(自然環境体験観光)

●アドベンチャーツーリズム(自然、文化体験観光)

●メンタルヘルスツーリズム(健康増進等を目的とする観光)

●ヘルスツーリズム(健康増進等を目的とする観光)

●ウエルネスツーリズム(健康増進等を目的とする観光)

●メディカルツーリズム(医療目的のための滞在観光)

●スポーツツーリズム(スポーツ観戦体験等、音楽を目的とする観光)

●ミュージックツーリズム(コンサート等を鑑賞する目的の観光)

●アンダーツーリズム(ローカル穴場観光)

●サブスクツーリズム(利用権観光)

●クラブツーリズム(会員制観光)

●スマートツーリズム(情報最先端技術を活用する観光)

●サイクルツーリズム(自転車観光)

●ウォーカブルツーリズム(歩く観光)

●ガストロノミーツーリズム(食文化観光)

●ロケツーリズム(映画、ドラマ、アニメ観光)

●ダークツーリズム(被災地、戦争跡地等を対象する観光)

●宗教ツーリズム(宗教と関わりの深い地域をめぐる観光)

●ピースツーリズム(広島市の観光戦略)

●スマイルツーリズム(小笠原村の観光戦略)

等々、例を挙げればきりがなく、観光目的の分だけ無数にある状況と言えよう。

そもそも、ツーリズムとは、継続して1年を超えない範囲で、レジャーやビジネスあるいは、その他の目的で、日常の生活圏の外に旅行したり、滞在したりする活動を指し、訪問地で報酬を得る活動を行うことと関連しない諸活動と定義されているようだ。レジャー等休日の遊びといった印象のある観光や旅行の概念とは少し異なり、ツーリズムは、ジャンルによって教育や学習、産業振興、地域交流等、様々な側面をもち、多種多様な目的によって人々が動く事象をまとめて表現したものとなっている。ツーリズムの語源由来は、ラテン語の「ターナス(tornus)」で、巡回・周遊・回転・回旋という意味。

このように表現が氾濫する背景には、観光のあり方が大きく変わり、観光スタイル自体が変化していることがある。特に、コロナ禍を経験した私たちは、価値観が変容する中で、生活様式や行動の変容へと向かっている。こうした中で、観光目的の多様化が今日の状況を創り出しているのであろう。

こう見てくると、京都が目指す次の観光戦略も、そのあるべき方向の一つが見えてくるのではないか。文化庁が京都に全面移転したこの機を逃さず、観光戦略の根幹に「文化の光」を位置付ける京都においては、文化を単なるCultureと訳すのではなく、ValueとStyleで捉え、京都が最も得意とする「文化の価値」をデザインすることが求められているのではないか。

京都ほど観光資源が多様で豊富な都市はない。京都は、洛東、洛西、洛南、洛北、洛中と5つのエリアを構成しているが、それぞれの地域に見合ったコンパクト観光の戦略を立てることも重要である。京都交響楽団を有する京都の特色を活かす音楽ツーリズムや、映画発祥の地・京都を活かすロケツーリズム等、京都の新しい観光スタイルの新基軸を創出されることを期待したい。

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