2017年9月23日 (土)

宿泊税②…特別徴収義務者の指定

宿泊税は、京都市内の宿泊施設に宿泊した観光客等が京都市に支払う目的税である。その税の徴収及び納付義務を負うのが旅館業法に規定されている事業者、また住宅宿泊事業法に規定されている事業者である。旅館業法においては営業に関して許可制であり、住宅宿泊事業法では事業者の届出制、管理営業者に関しては登録制となることになる。こうした中で、いずれの宿泊施設に宿泊した観光客に対して徴収した宿泊税が適正に納付されるかどうか、またそもそも本来特別徴収義務者となるべき事業者において違法民泊や、存在不明なままの施設での営業等を営む事業者に対して課税徴収義務を課せるかどうか、心配されるところである。

京都市の現状として、許可施設約2500施設に対して仲介サイト等に登録されている宿泊類型施設は約3000施設ほどある。こうした現状を踏まえれば、(1)条例施行によって宿泊税を支払う義務が宿泊者に課せられることになるが、特別徴収義務者からもれなく京都市に納付されるかどうか。(2)特別徴収義務者登録漏れ、徴収漏れ、納付漏れが回避できるのかどうか。(3)そもそも違法民泊事業者に、公平公正な条例に即して京都市の課税徴収の役割を担わさせることの公平公正な視点や道義的問題がないのかどうか。

東京都は民泊への宿泊者に対しては課税対象除外としている。また、大阪府では民泊への宿泊者に対して課税徴収対象としつつも、違法民泊での宿泊者に対しては課税徴収対象除外としている。しかし今回の京都市の宿泊税は、すべての宿泊施設に対して課税徴収の義務を課すものであり、多角的な議論が求められるところである。

2017年9月22日 (金)

宿泊税①…総論

Img_6656

京都市会では、9月22日予算委員会が開会されました。予算委員会に付託された議案は、平成29年度9月補正予算(案)宿泊税導入に係る条例(案)等です。中でも宿泊税導入に係る関係議案が委員会の焦点になっています。

今回の宿泊税条例の制定は、国際文化観光都市京都としての魅力を一層高め、年々ニーズが高まる京都の観光の振興を図る諸施策に要する財源を確保するため、地方税法第5条を根拠に法定外目的税として宿泊者に対し課税するものです。目的税であることから、その使途は、入洛客の増加等、観光を取り巻く情勢の変化に対応する受入環境の整備、住む人にも訪れる人にも京都の品格や魅力を実感できる取組の推進、京都の魅力の国内外への情報発信の強化のための財源を確保するためです。導入に向けては昨年から社会情勢を踏まえながら検討委員会で審議され今年の8月に最終答申案が提出され、今回条例が提案されました。

東京都及び大阪府すでに先行導入されていますが、政令市としても初めてであり、税率等についても先行自治体と比較して200円(宿泊料金20000円未満)、500円(宿泊料金20000円以上50000円以下)、1000円(宿泊料金50000円以上)と高額であることや、違法民泊事業者も含めすべての宿泊事業者に徴収義務を課すことなど、様々な課題があることから、宿泊税導入に係る諸課題について私は、委員会において質疑を行い京都市の方針を確認しました。

質疑項目については、以下の通りです。①宿泊税導入によって宿泊離れや観光経済の減速等マイナスの影響についての認識、②宿泊税導入に伴う総務省及び財務省の関与と課税徴収に至る協議のスケジュール、③特別徴収義務者(ホテル、旅館、簡易宿所、違法民泊等)の正確な実態把握の方策、④違法民泊の把握と今後の対応策、⑤3種類の税率に至った理由、⑥宿泊費1万円以下の税率の考え方、⑦特別徴収義務者に係る帳簿の記載義務の事務的課題、⑧罰則の考え方、⑨旅館業法改正に伴う事業者の違法性についての対処方策、について詳細に確認し質疑を行いました。特に、違法民泊対策は喫緊の課題であると指摘し、京都市内の旅館業法許可施設2409施設(H.29.8現在)がある中で、仲介サイトでは約5500施設がノミネートされていることを考えれば、単純に約3000施設が違法民泊ということになり、徴収義務者の早期の確認作業が急がれます。直接的には京都市内で宿泊される方々に影響を与えるものですが、間接的には京都市民にとっても影響がある条例であるが故に、今後、課題整理を行い論点を明確にし更なる議論を進めることが必要です。

アクセスランキング

Google
WWW を検索
このブログ内を検索