宿泊税②…特別徴収義務者の指定
宿泊税は、京都市内の宿泊施設に宿泊した観光客等が京都市に支払う目的税である。その税の徴収及び納付義務を負うのが旅館業法に規定されている事業者、また住宅宿泊事業法に規定されている事業者である。旅館業法においては営業に関して許可制であり、住宅宿泊事業法では事業者の届出制、管理営業者に関しては登録制となることになる。こうした中で、いずれの宿泊施設に宿泊した観光客に対して徴収した宿泊税が適正に納付されるかどうか、またそもそも本来特別徴収義務者となるべき事業者において違法民泊や、存在不明なままの施設での営業等を営む事業者に対して課税徴収義務を課せるかどうか、心配されるところである。
京都市の現状として、許可施設約2500施設に対して仲介サイト等に登録されている宿泊類型施設は約3000施設ほどある。こうした現状を踏まえれば、(1)条例施行によって宿泊税を支払う義務が宿泊者に課せられることになるが、特別徴収義務者からもれなく京都市に納付されるかどうか。(2)特別徴収義務者登録漏れ、徴収漏れ、納付漏れが回避できるのかどうか。(3)そもそも違法民泊事業者に、公平公正な条例に即して京都市の課税徴収の役割を担わさせることの公平公正な視点や道義的問題がないのかどうか。
東京都は民泊への宿泊者に対しては課税対象除外としている。また、大阪府では民泊への宿泊者に対して課税徴収対象としつつも、違法民泊での宿泊者に対しては課税徴収対象除外としている。しかし今回の京都市の宿泊税は、すべての宿泊施設に対して課税徴収の義務を課すものであり、多角的な議論が求められるところである。
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