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2023年4月10日 (月)

個の尊重と多様性の結束 

~2023京都市議会議員選挙に思う~

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4月9日に執行された統一地方選挙(府議会議員選挙、市議会議員選挙)は、次の京都の10年に向けた新たな1ページが開かれる選挙戦となった。京都市会では、定数67に対し、自民19、共産14、公明11、維新10、京都党5、国民3、立民2、無所属3と、京都府議選と併せ、いずれも選挙前と比較し維新が大きく躍進する結果となった。
今回の統一選は、コロナ禍を経験した中ではじめて迎える統一選となったが、山積する市政の課題や未来の政策争点等も当然問われるものでもあった。しかし時代の大きな転換点となる今回の選挙は、一重深く考えれば、社会の底流に流れている民意を深く見極め新時代における民主主義のあり方を考えることが必要である。政治学の専門家でない私としては、今後、様々観点から多面的な分析を待つしかないが、30年近く地方政治に身を置いてきた一人として今回の選挙で直感的に思うことは、民主主義が「個の尊重」の政治を更に希求しているのではないかということである。それは今回の選挙結果を見ても明らかなように、有権者が求める「個の尊重」の政治が、必然的に多党制の議会構成へとなっている。

今、改めて1980年代に、21世紀の民主主義や政治の方向を示した未来学者アルビン・トフラーの名著「第三の波の政治」を読み返しているが、そこには「個の尊重」の意味について鋭い知見が示されている。著者は、情報革命社会(第三の波)における政治システムの三原理として、①半直接民主主義、②決定権の分散、③少数意見の尊重を挙げている。1980年代当時の日本社会システムでは受け入れられない論理だったと思うが、今やマイノリティパワー(少数意見、個)は時代の今や世界の潮流となっている。
民主主義を支える有権者の側が、「個の尊重」の政治を求める中、政治家や政党は、個人の意見や意志が尊重される舞台を用意する必要があるが、政治家や政党にそうした視座を持った運動論や政策論が展開され日常的に有権者に届いているかが問われえば課題は多いと言わざるを得ない。その意味で、今回躍進した政党は、そうした「個の尊重」の政治を意識するかしないかを問わず持ち合わせていたのではないか。逆に退潮傾向にある政党は、「個の尊重」の政治とは真逆の「集団の尊重」の政治を重要視する選挙戦に終始した結果によるところが大きいのではないか。

トフラーの第三の波の政治における三原理は、40年以上前に示されたものだが、未来学が我が国では育たない土壌も相まって、残念ながらこれまでわが国では深く議論がされてこなかった。
しかし、デジタル社会の加速化は、政治のあり方、民主主義のあり方を大きく転換させていく可能性を秘めており、「個の尊重」の政治の流れも加速していることは間違いない。

5月には選挙で選ばれた議員により、次の京都の10年の道筋に責任を持つ議会が新たにスタートする。「個の尊重」により多党制の議会で真摯な言論戦を活発に展開されることを期待する一方で、少数意見をまとめ上げる合意形成のチカラも、それぞれの会派に求められることになる。不毛な対立を乗り越え、京都市の未来のために、「多様性の結束」のもとに合意形成は図り市政発展に貢献していただきたいことを願うばかりである。

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