« 令和元年度京都市決算@認定  市税条例@継続審議 | メイン | 市税条例改正@賛成多数で可決 »

2020年11月 6日 (金)

住民税(個人市民税)

京都市会で継続審議となっている市税条例改正案については、十分な議論が不可欠なことから、11月9日の総務消防委員会において更なる審議がされることになっています。

特に住民税(個人市民税)減免制度の廃止・見直しについては、昭和26年から制度創設して以来これまで運用してきた所得割失格者減免少額所得者減免の今日的意義が無くなっていることや、公平な税体系の確立の必要性からも減免制度の是正見直しの必要性があることから、今回条例改正をしようとするものです。これについては平成14年の税制研究会からの指摘をはじめとしてこれまで専門家からも再三にわたり指摘されているものです。

個人住民税の場合、納税義務者には均等割と所得割の合計額が課税されることになります。しかし一方で、所得が極めて低い方等に配慮して所得割を減免して均等割だけを課税する減免制度です。更に生活保護受給者等の場合には所得割も均等割も両方とも減免される仕組みになっています。しかし京都市の場合、所得割を全部減免した場合、同時に均等割をも全部減免してしまっている所得割失格者減免制度政令都市20都市で唯一京都市だけが残っている状態なのです。一言で言えば、一定の所得があっても控除制度の適用等により、所得割が掛からないことで均等割も課税されないという極めて特異な制度になっているということです。

令和2年度の課税データをもとに分析した情報では、何らかの所得がある方は1114328人、その内、非課税規定によって課税されていない方は432537人(全体の38.8%)で、残りの681791人が本来課税対象者となります。しかし、所得割失格者減免が40754人(全体の3.7%)、少額所得者が6980人(全体の0.6%)あるため、実際に課税されている方は634057人となっており、均等割の課税範囲が課題となっているのです。しかし、この減免対象者は申請によって減免されてきたものではなく、京都市が課税対象を毎年精査する際に機械的に処理されてきたため、対象者本人がこうした減免制度の階層に属しているということを知らないことから、制度廃止と言われても理解に苦しむことは容易に推察されます。また所得割失格者減免の廃止においては、非課税世帯から課税世帯となることで福祉サービスを受けている利用者に急激な負担額が生じることとなり生活実態として大きな影響を受けることが懸念されます。だからこそ課題となっている減免制度廃止の議論は、福祉サービスの影響とバランスの取れた議論が不可欠なのです。

今後は11月9日の総務消防委員会での継続的な議論にゆだねることになりますが、今回の市税条例改正で明らかになった課題の一つに、住民税の仕組みについて余り知られていないことがあげられるのではないでしょうか。そもそも私達のどれだけが住民税の「均等割」について熟知しているかと言えば疑問符がつくでしょう。住民税とは都道府県や市区町村が行う行政サービスを維持するために必要な経費を住民が分担して支払う税金です。これにはその地域住民が納付する住民税(個人市民税)と、事業主が納付する住民税(法人市民税)があり、京都市で言えば徴収は、京都府の府民税を市民税と一緒に京都市が徴収し市が府に支払っています。徴収方法は、会社員の場合には会社が給与から天引きし本人に代わってその年の6月から翌年の5月までの12回分を分納する「特別徴収」方式と、個人事業者等の場合には、確定申告で住民税を確定させてから一括もしくは、四半期ごとに4回に分割して支払う「普通徴収」方式があります。

住民税は前年の1月~12月までの所得に応じて決定され、所得に応じて決まる所得割一律に課せられる均等割を併せて課税されるものです。住民税の税率は所得割が10%(全国一律)で、その内訳(税率)は以前は、市民税が6%、府民税が4%でしたが、地方分権の流れから、現在では市民税が8%、府民税が2%という構成となっています。

こうした中で、現在、京都市の個人市民税の税率は3500円、府民税の税率は2100円、合計5600円が課税されています。もともとは市民税は3000円、府民税は1000円で4000円でした。しかし、平成26年に東日本大震災を機に復興のための費用として住民税の均等割の仕組みに市民税に500円、府民税に500円合計1000円が復興税として10年間課税されていることから、市民税は3500円、府民税が1500円となっています。また、平成28年には、京都府が「豊かな森を育てる府民税」として600円を課税したことから、府民税が2100円となっているのです。さらに今後は令和6年に復興税の10年間の課税期限が切れますが、同様に住民税の均等割の仕組みに、「森林環境税」が課税されることになります。「地域社会の会費」とも言える住民税の仕組みとその使い道に市民の一人として注視していきたいと思います。

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。

コメントは拒否されました。

Lekumo ビジネスブログ またはその他のOpenIDでログインしてください

アクセスランキング

Google
WWW を検索
このブログ内を検索