脳が陥りがちな10の本能(思い込み)~ファクトフルネス~
「ファクトフルネス」の本。これは世界で200万部、日本では4分の1読まれているハンス・ロリング著の翻訳書である。著者はこの書の中で、私達が日常的に陥っている本能(思い込み)を指摘し、情報に基づき合理的な判断を下す知識のアップデートの必要性(データリテラシー)を警鐘している。コロナ禍にある現在にあっては、なおさら冷静かつ的確に判断をするためにもこうした知識のアップデートが必要である。
著者は、脳がおちいりがちな10の本能として、以下10の思い込み(勘違い)を提起しているので注視したい。(プレジデント2020年特別号参照)
❶犯人捜し本能・・・誰かを責めれば物事は解決するという思い込み。見つけるべきは犯人ではなく原因で、見直すべきは人ではなくシステムである。
❷過大視本能・・・目の前の数字が一番重要だという思い込み。目の前の事実を過剰に重要だと思い込まず、数字を比較した一般論として認識することが重要である。
❸恐怖本能・・・危険でないことを恐ろしいと考えてしまう思い込み。恐怖と危険は異なる。どれくらいの頻度で起こりうるのかリスクを考えることが必要である。
❹単純化本能・・・世界はひとつの切り口で理解できるという思い込み。多様な認識ツールを駆使することが必要である。
❺ネガティブ本能・・・世界はどんどん悪くなっているという思い込み。悪いことと良いことの事象の両立による認識が重要である。事実に基づかない悲観的発想はしないこと。
❻直線本能・・・世界の人口はひたすら増え続けるという思い込み。直線グラフ数値の方がまれであることを認識すべきだ。
❼焦り本能・・・いますぐ手を打たないと大変なことになるという思い込み。正確で重要なデータに基づき決断し、極論は抑えるべきだ。
❽分断本能・・・世界は分断されているという思い込み。事実認識が重要である。
❾パターン本能・・・ひとつの例がすべてに当てはまるという思い込み。ステレオタイプを回避するため分類の精査が必要である。
➓宿命本能・・・すべてはあらかじめ決まっているという思い込み。常に知識をアップデートすることが重要である。
こうした思い込みは、非常事態にある時ほど、本能が全面に出てくる傾向にある。常日頃から、知識を鍛え、データリテラシーの向上に努めたい。