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2017年9月23日 (土)

宿泊税⑤…税率

京都市の宿泊税の税率は、宿泊料金が20000円未満は200円、20000円以上50000円未満は500円、50000円以上は1000円としている。一方先行実施の東京都では、10000円以下は免税点として宿泊税は0円、10000円以上15000円未満は100円、15000円以上は200円。また大阪府では、10000円以下は0円、10000円以上15000円未満は100円、15000円以上20000円未満は200円、30000円以上は300円としており、総務省の一定の見解はあるものの税率の根拠について明確なものがないため、各都市の事情により差異が生じているのが実態である。こうしたことから、税率の妥当性とともに、目的税の使途との関係性について十分に議論しておく必要がある。

税率に関する京都市宿泊条例の特色は、宿泊料金20000円を一つのラインとして、宿泊料金がそれよりも安いところにも、一律200円を課すものである。この場合、東京都と大阪府と異なり10000円以下の免税点を設定していないため、格安の簡易宿所・民泊に宿泊する方への税負担率が重くなることになる。また20000円以上の宿泊料金階層は、京都市が推進する上質な宿泊施設の誘致方針を踏まえ設定されたものと考えられ、いわゆる高級ホテル・旅館等の施設に対し、宿泊料金の階層に対し、一定のインセンティブが働くことになる。

税率の妥当性については、宿泊税を支払う宿泊者が、支払った税に見合った価値が還元されるかどうかであろうと思われる。つまり宿泊税が高いところは、それなりの対価として、「文化財保護に還元されている」とか、「味わい深い京町家の景観を享受できた」等、ホテルのサービス料とは別の、その価値を実感できるものが妥当であろう。

税の公平公正という視点で考えれば、課税の公平性も必要ながら、還元の公平性も考慮する必要がある。つまり高い宿泊料金とともにそれに見合った宿泊税を支払った方は、京都観光と宿泊への満足度が高まることであり、その満足度の如何によって、もう一度京都市内の宿泊施設に宿泊したいという思いを促し、リピーターを増やすことに繋がり、やがてそれが観光振興へと連動するものであると考えられるのではないか。その意味でも、税率に基づく課税徴収とともに、宿泊税を支払う方への適切な還元に向けて、目的税である宿泊税の使途について見える化し、説明責任を果たすことが重要であろう。

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