ユネスコ世界記憶遺産登録を求める決議
京都の岡崎の地で大正11年3月3日に宣言された「全国水平社宣言」は、近代日本の人権文化の創造運動の原点として、その後の人権運動に果たした画期的な宣言とされている。
この全国水平社宣言と関係資料を、2017年のユネスコ世界記憶遺産に登録すべく、去る6月3日に日本ユネスコ国内委員会に申請書類が送付された。
申請者は、京都市の柳原銀行記念資料館を運営する崇仁自治連合会と、水平社博物館を運営する奈良人権文化財団。
京都府議会、京都市会においても、その登録を後押しするための決議を採択してほしいと、「全国水平社創立宣言と関係資料のユネスコ世界記憶遺産登録をめざす会」の関係者が京都市会の各会派に要請行動をされたところです。
(具体的な資料)
①「全国水平社創立大会綱領 宣言 則 決議」(1922年3月3日、全国水平社3点)
②チラシ「全国水平社創立大会へ!!」(1922年2月21日、水平社同人3点)
③「学校日誌崇仁尋常小学校」(1922年3月2日記述分)
④「水平社創立発起者・阪本清一郎忘備録」(1922年2月~3月分)
⑤全国水平社創立発起者集合写真(1922年3月3日)
⑥「全国水平社連盟本部日誌」(1922年3月3日)
⑦奈良県柏原水平社荊冠旗(1923年2月)
7月9日の本会議では、自民・公明・民主が共同して提案した「全国水平社創立宣言と関係資料の『ユネスコ記憶遺産』登録に関する決議」が、京都党及び維新の会の賛成により可決されました。共産党は態度を留保し採決では本会議場を退席しました。
(全国水平社創立宣言と関係資料の『ユネスコ記憶遺産』登録に関する決議)
「ユネスコ記憶遺産」は、世界的・歴史的に価値のある重要な古文書や書物等の歴史的記録物をデジタル保存化し、広く公開することを目的とした事業で、世界記憶遺産とも呼ばれ、これまでわが国では、2011年の筑豊炭鉱の記録画、2013年の慶長遣欧使節関係資料及び御堂関白記が登録されるとともに、2014年には京都に関係する東寺百合文書及び舞鶴への生還シベリア抑留等引き揚げ記録が国際候補に選定されている。
中でも、日本の歴史と伝統文化に重要な役割を果たし続けている京都市においては、歴史的価値のある重要な記録物が多く存在する都市と言える。とりわけ、大正11年、旧岡崎公会堂で開催された全国水平社の創立大会で決議されたわが国初の記念すべき「全国水平社創立宣言」は、人間の尊厳と自由平等の理念を掲げ、差別の撤廃と人間解放を謳い、近代日本の人権文化の創造運動の原点として、その後の人権運動に果たした役割は極めて大きく、歴史的価値に値するものである。
現在、関係資料を所有する京都市下京区の柳原銀行記念資料館等の市民団体及び公益財団法人奈良人権文化財団が中心となって記憶遺産登録に向けて取組が進められているが、人権部文化の息づくまちづくりを重要政策と位置付ける京都市会としても、「ユネスコ記憶遺産」への登録を強く求めるものである。