先日、護憲的改憲論者として有名な、
小林節慶応義塾大学教授による講演を聞く機会を得ました。講演は、『
憲法「改正」と「改悪」』とのメインテーマのもとに、「
憲法が機能していない日本は危ない」とのサブテーマで講演。講演要旨は、次のようなものでした。
憲法について、実は日本人はその本質が何かを、ほとんど知られていないことを知らないいけないと指摘。特に、六法の中の、民法や刑法等の五法と、いわゆる憲法(一法)とはまったく異なった概念であること。五法は、国民に義務を課すものであるのに対し、
憲法は国民が国家権力を管理する法として特別な役割があると断言。
改憲論者の多くが、今の憲法はアメリカのお仕着せとの論理展開があるが、日本国憲法の、
国民主権・基本的人権の尊重・絶対平和主義の三原則は、きわめてすぐれたものである。また、集団的自衛権を論じる場合、戦争の定義が大事。自国が他国を侵略する戦争と、他国から自国を侵略される戦争とである。前段の戦争は、放棄できる。しかし後段の戦争は放棄できないものである。国際法で自衛による戦力は認められていることから、整理する必要がある。
さらに、憲法には、権利ばかりが主張されていて、義務規定が少ないとの意見が改憲論者に多いことをあげ、憲法は国民を国家権力から守るために、国民一人ひとりの権利の多くを規定しているのである。
最後に、小林教授は、自民党の憲法草案にも触れ、道徳と法とを混同していることが大きな間違いであることを指摘された。改正と改悪とは根本的に異なることを改めて確認できた講演であった。
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