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2011年2月22日 (火)

二元代表制とデモクラシー

2010年6月に、策定された地域主権戦略大綱の中には、「日本国憲法の理念の下に、住民に身近な行政は、地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において、地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革」とある。理念はもっともだが、実現するための財政支援や法的整備等が具体化されておらず、有る意味たなざらしになっている感が否めない。

いずれにしても、国が法整備をして改革を誘導することは大事だが、やはり現場に即した実のある改革を進めるためには、地域から、地方から、現場からの改革が不可欠である。自治体では首長と議会の二元代表制をとっており、それぞれ選挙によって住民が選択している。最近は、名古屋市長や大阪府知事のように、首長と議会とが真っ向から対立構図にある傾向が強くなっているが、首長と議会が対立することは、ある意味の緊張関係ができ、二元代表制の本義に則っていると言えなくもない。しかし、両自治体の問題は、首長が設立する独自の政党の今後の対応である。首長を応援する政党は、いわゆる与党として今までも存在している。オール与党化現象による議会のチェック機能の低下に対し、住民からの厳しい目が向けられている中で、首長が独自に設立する政党による地方議会の誕生は、同様の轍を踏むことは十分に考えられる。要は、首長と議会の議員を選択するという2つの票を持っている住民自身が、自らの判断と責任において決定することが何よりも重要なのである。

中央大学教授の礒崎初仁氏は、二元代表について、二つの代表機関が並立して存在することは、それぞれ異なるデモクラシーに基づいていると指摘している。すなわち、首長は独任制で執行権を有することから首長には、住民の意思を統合し、一つの方針の下で強力に地域づくりをすすめる「リーダーシップ型のデモクラシー」が期待され、一方、議会は多数の議員によって構成される合議制の機関であり、議会には多様な住民意志を吸収し公開の場で討議を通じて一つの意志を形成する「熟議型のデモクラシー」が期待されるとしている。

パラダイムシフトの時代にあって、議会の側に、いよいよチェック監視機能とともに、政策立案力や合意形成能力等、未来をリードできるだけの住民の判断と責任の上に成り立つ議会の確立が求められる。

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