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2007年9月27日 (木)

第三の波の政治

未来学者のアルビン・トフラーとハイジ・トフラー夫妻が1995年に世に問うた書が「第三の波の政治」である。95年と言えばおりしもWindows95が一世を風靡している時代であり、情報化社会の幕開けでもあった。この書の中の序文で、トフラー夫妻は、農業革命(第一の波)から産業革命(第二の波)へ、そして来るべき第三の波とする情報化社会を迎えるにあたり、「今重要ななのは、民主党とか共和党かとか、左派とか右派とか、あるいはリベラルか保守派かといった問題ではない。必要なのは、廃れていく過去の保存と復活を願い、その延命工作に走る政治家と、『第三の波』の情報化社会への移行準備をすでに整えている政治家とを峻別することなのだ」と、第三の波の政治を志向することの重要性を説いている。

わが国における今の政治状況を考えると、12年前のトフラーの指摘は誠に示唆に富んでいる。日本の政治に今求められているのは、いうまでもなく、未来への道標である。ある政治学者の分析では、時代社会は40年周期で転換し変化していると言う。いわゆる「40年周期説」である。そしてその根拠はその時代の政治が国益(ナショナルポリシー)を何に置くかによるものだというのである。例を挙げると、明治維新は明治天皇のもとで明治憲法を制定し鎖国から脱却し国際化をポリシーとし政策を進めた。その結果は、明治時代は45年間続いたが明治政府は終わった。次の大正時代は富国強兵制をポリシーとし政策を進めた。その結果は、昭和20年には敗戦を見ることになる。よく見ると明治元年から昭和20年までちょうど80年。40年周期を2回繰り返したことになる。敗戦後のスタートは、政治からのスターではなく、経済復興をポリシーとしてのスタートであった。その後日本経済は高度成長時代を経験し世界一の経済大国となったものの、40年後にはバブル崩壊を経験することになる。

一方政治はどうか。昭和20年に遅れて10年、昭和30年に現在の政治体制の基礎ともなった自民党と社会党が誕生(55年体制)した。東西冷戦の影響を直接受けてイデオロギー政治がスタートしたが、40年後には、対立政治の主人公であった自民党と社会党が一緒に政権に組みするという歴史的な連立政権が誕生した。失われた10年と叫ばれて久しいが、この間日本の政治は21世紀の未来にどのような設計図を用意し民意を問うてきたのかと言えば甚だ寂しい限りである。京セラの稲盛氏は堺屋太一氏との対談で、「バブル崩壊後の40年のうち、すでに20年が経過しており失われた10年どころか、失われた20年である」と指摘している。

今夏の参議院選挙結果の総括や分析は、さまざまにされてきてはいるが、大きな文明の変化の波の中で、民意がどのように変化しているのかを今度の福田政権がどう認識して行動するのかを私は注目している。今こそ確かな未来設計図を描けなければ国民の不幸はまだ続くことになってしまう。失われた30年では済まされない。

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