認知症の予防
介護保険制度の法改正により地域支援事業が創設され、介護予防事業として認知症予防対策が進められようとしています。超高齢社会の到来で現在、認知症の高齢者は約170万人、2015年には250万人と予測されており、誰もが認知症になりうる予備軍であることを考えると、他人事ではありません。認知症と上手につき合っていくことが重要な時代となってきています。そこで最近注目をされている認知症予防プログラムを学説も含め紹介しましょう。
それによると、欧米の研究でも、アルツハイマー病になる前に、低下する脳機能があることがわかってきており、普段から意識的に鍛えるようにすれば認知症を抑制できる可能性が高いことがわかりました。認知症の主な原因は、アルツハイマー病と脳血管障害ですが、脳血管障害は運動不足や肥満、食塩の取りすぎ等、生活習慣を見直すことが重要で原因が明確であることで、比較的対策を講じやすいものです。しかしアルツハイマー病は脳にアミロイドβたんぱくが沈着して神経細胞を死滅させる疾患ですが、なぜ発症するのか解明できていない状況にあります。しかし最近、認知症になる可能性の高い予備軍が存在することがわかってきたというのです。
アルツハイマー症になる手前に低下する脳機能には、①エピソード記憶、②注意分割力、③計画力(思考力)の3つがあるといわれています。エピソード記憶は、夕食に何を食べたかなど体験を記憶して思い出す機能。注意分割力は、複数のことを同時に注意を配りながらこなす機能。計画力は、物事を段取りする機能です。
実は認知症予防は、これらの三つの機能を高めることがポイントです。そのプログラムには、旅行・料理・園芸・パソコンなどグループ活動が極めて有効だとしています。たとえば、料理のプログラムでは、参加者がこれまでつくったことのない献立を話し合いながら考え、調理する。またプログラム開始前にはウォーキングなどの有酸素運動なども取り入れて脳に酸素を取り込み思考をつかさどる前頭葉野などの血流をよくし脳機能を高めることも重要だとしています。
情報化社会は便利になりましたが、現代社会はデジタル化された社会となり余裕・癒しの間というものがない時代となってきています。人は、時間・空間・仲間という3つの間が必要だと思います。まさにこの3つの間を確立する柱はいうまでもなく、人間そのものです。やはり人間の機能は人間対人間同士の協働作業により向上し強化されていくものだと改めて認識しました。最高の認知症予防は対話と確信します。
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作品名:ぱあっとひらける時がある
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