2020年11月25日 (水)

市税条例改正@賛成多数で可決

去る9月市会に提案された京都市市税条例の改正議案は、総務消防委員会に付託された後、10月20日に審査をしたものの、継続審議となり11月9日に総務消防委員会で引き続き審査を行い、さらに11月10日には、教育福祉委員会においても市税改正に伴う福祉サービスへの影響に対する経過措置について、報告すべき案件として報告がされ質疑がされました。こうした市会における審査を経て、討論結了日となる11月24日14時から開会された総務消防委員会では、冒頭に共産党議員団から「継続審議」の動議が出されましたが、少数により動議は否決され、原案が可決。11月25日に開会された11月市会冒頭本会議において正式に賛成多数で可決成立しました。

本会議では委員会での対応と同等に、共産党議員団からは今回の市税条例の内容の内、所得割失格者・少額所得者等の減免制度廃止の撤回をもとめ修正案を提出。さらに、地域政党京都党と日本維新の会共同で、所得割失格者減免のみを条例改正案から削除し継続して審議すべきとの主張で別の修正案を提出しましたが、いずれも少数により否決された。その上で地域政党京都党及び日本維新の会は原案に賛成。結果的に賛成多数により可決成立しました。

私は総務消防委員会の委員としてこれまで審議に携わってきた経過もあることから、11月25日の本会議では公明党市会議員団を代表し賛成討論(全文は別途添付)を行いました。

今回の市税条例議案には4つの内容が一括して提案されています。1つは、令和2年度末に適用期限を迎える法人税割の超過課税の延長。2つは、国の税制改正に伴う控除要件の見直し。3つは、国の税制改正に伴う減免対象の追加。4つには、京都市独自の条例減免の廃止の4点です。1点目については、「コロナ禍であっても引き続き京都の産業振興及び社会基盤の整備のために地域貢献していく」との京都経済界の深いご理解を頂いていることから賛成するものです。また2点目と3点目は、働き方改革やひとり親家庭への公平税制等の理由で行われた平成31年度の国の税制改正による規定整備であることから賛成するものです。

今回、最も議論となったのは、長年に渡り京都市独自に減免してきた所得割失格者減免、少額所得者減免、納税義務承継者減免について、有識者からの指摘等を踏まえ今日的意義が薄らでいる当制度を廃止することの有無についてです。一般的に非課税世帯であるか課税世帯かによって福祉サービス等の利用料に大きな違いが生じることは当然です。税を支払っている方々との公平性やバランスを考慮すると、当然の対応です。しかし京都市の独自条例減免制度は、昭和26年創設当初は国の支援制度が確立されていない中で、生活困窮者への救済措置として制度運用の意義はあったものです。特に戦後の復興期においては地域経済も厳しい中にあってその有効性は高いものであったことが推察されます。しかし、昭和51年に住民税の均等割に、昭和56年に所得割の減免制度が国の制度として確立されてからは、税制度上から見ても、市独自条例制度の改廃については議論の余地は十分にあったと思われます。事実、平成14年に提出された京都市税制研究会からの中間報告をはじめこれまで3度にわたり税の専門家・有識者から厳しい指摘されてきたものです。しかしながら、京都市は、こうした中で税担当局を中心に制度の是非について検討はされてきたものの、非課税から課税世帯になることによる福祉サービスへの影響が大きいことから、決断を先延ばしてきたことも事実です。そうした中で、令和6年度からは現在の復興税に代わり森林環境税が課税されることが確定している現段階においては、もはや先延ばしは許されない状況にあると認識せざるを得ません。「なぜ今まで提案されなかったのか」「これから継続審議をして十分に議論を尽くすべきだ」という理想論ともいえる意見は言えますが、現実に市税条例の課題を是正し、京都市の市税を取り巻く課題を総合的に判断すれば、決断するのは今しかないのではないかと考えます。

いずれにしても、今回の市税条例の改正(制度見直し)によって、これまで長年の課題であった本市の市税制度の是正が図られ、地方税法の主旨を踏まえた公平公正な制度として再構築されることになります。また、減免廃止により影響を受ける福祉サービス利用者への配慮として経過措置決定のための検討チームを設置し、制度構築に向けた今後の取り組むべき事項と検討スケジュールが明確になりました。さらに、経過措置の内容を決定する上での課題解決の道筋と、厳しい財政状況であっても、経過措置のための必要財源については最優先して確保していくことも明らかになりました。

また私たち公明市議団は、条例改正に当たって、今後遵守し実行すべき点について別紙のとおりの付帯決議を、自民党民主・市民フォーラムの3会派共同で提案したところです。

今回33年ぶりに継続審議となった中で、議会への報告のあり方検討項目達成の実行性についての課題も明らかになりました。特に、審議での理事者の答弁は、正確なデータがない中でのものであり、あくまでこれから検討していくことが前提であるため、現段階ではどれも確実な担保があるとは言い切れないものです。議会としてはこれまでの市の対応に猛省を促すはもちろんのこと、今後の対応について「確かな未来を実現するための決断」が求められたものと思います。

●大道義知賛成討論全文・・・81.pdfをダウンロード

●議第81号に対する付帯決議・・・81futaiketsugi.pdfをダウンロード

2020年11月 6日 (金)

住民税(個人市民税)

京都市会で継続審議となっている市税条例改正案については、十分な議論が不可欠なことから、11月9日の総務消防委員会において更なる審議がされることになっています。

特に住民税(個人市民税)減免制度の廃止・見直しについては、昭和26年から制度創設して以来これまで運用してきた所得割失格者減免少額所得者減免の今日的意義が無くなっていることや、公平な税体系の確立の必要性からも減免制度の是正見直しの必要性があることから、今回条例改正をしようとするものです。これについては平成14年の税制研究会からの指摘をはじめとしてこれまで専門家からも再三にわたり指摘されているものです。

個人住民税の場合、納税義務者には均等割と所得割の合計額が課税されることになります。しかし一方で、所得が極めて低い方等に配慮して所得割を減免して均等割だけを課税する減免制度です。更に生活保護受給者等の場合には所得割も均等割も両方とも減免される仕組みになっています。しかし京都市の場合、所得割を全部減免した場合、同時に均等割をも全部減免してしまっている所得割失格者減免制度政令都市20都市で唯一京都市だけが残っている状態なのです。一言で言えば、一定の所得があっても控除制度の適用等により、所得割が掛からないことで均等割も課税されないという極めて特異な制度になっているということです。

令和2年度の課税データをもとに分析した情報では、何らかの所得がある方は1114328人、その内、非課税規定によって課税されていない方は432537人(全体の38.8%)で、残りの681791人が本来課税対象者となります。しかし、所得割失格者減免が40754人(全体の3.7%)、少額所得者が6980人(全体の0.6%)あるため、実際に課税されている方は634057人となっており、均等割の課税範囲が課題となっているのです。しかし、この減免対象者は申請によって減免されてきたものではなく、京都市が課税対象を毎年精査する際に機械的に処理されてきたため、対象者本人がこうした減免制度の階層に属しているということを知らないことから、制度廃止と言われても理解に苦しむことは容易に推察されます。また所得割失格者減免の廃止においては、非課税世帯から課税世帯となることで福祉サービスを受けている利用者に急激な負担額が生じることとなり生活実態として大きな影響を受けることが懸念されます。だからこそ課題となっている減免制度廃止の議論は、福祉サービスの影響とバランスの取れた議論が不可欠なのです。

今後は11月9日の総務消防委員会での継続的な議論にゆだねることになりますが、今回の市税条例改正で明らかになった課題の一つに、住民税の仕組みについて余り知られていないことがあげられるのではないでしょうか。そもそも私達のどれだけが住民税の「均等割」について熟知しているかと言えば疑問符がつくでしょう。住民税とは都道府県や市区町村が行う行政サービスを維持するために必要な経費を住民が分担して支払う税金です。これにはその地域住民が納付する住民税(個人市民税)と、事業主が納付する住民税(法人市民税)があり、京都市で言えば徴収は、京都府の府民税を市民税と一緒に京都市が徴収し市が府に支払っています。徴収方法は、会社員の場合には会社が給与から天引きし本人に代わってその年の6月から翌年の5月までの12回分を分納する「特別徴収」方式と、個人事業者等の場合には、確定申告で住民税を確定させてから一括もしくは、四半期ごとに4回に分割して支払う「普通徴収」方式があります。

住民税は前年の1月~12月までの所得に応じて決定され、所得に応じて決まる所得割一律に課せられる均等割を併せて課税されるものです。住民税の税率は所得割が10%(全国一律)で、その内訳(税率)は以前は、市民税が6%、府民税が4%でしたが、地方分権の流れから、現在では市民税が8%、府民税が2%という構成となっています。

こうした中で、現在、京都市の個人市民税の税率は3500円、府民税の税率は2100円、合計5600円が課税されています。もともとは市民税は3000円、府民税は1000円で4000円でした。しかし、平成26年に東日本大震災を機に復興のための費用として住民税の均等割の仕組みに市民税に500円、府民税に500円合計1000円が復興税として10年間課税されていることから、市民税は3500円、府民税が1500円となっています。また、平成28年には、京都府が「豊かな森を育てる府民税」として600円を課税したことから、府民税が2100円となっているのです。さらに今後は令和6年に復興税の10年間の課税期限が切れますが、同様に住民税の均等割の仕組みに、「森林環境税」が課税されることになります。「地域社会の会費」とも言える住民税の仕組みとその使い道に市民の一人として注視していきたいと思います。

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