2024年1月 4日 (木)

2024年 始動!

2024年、新しい年の幕明けで、決意も新たにした矢先、1日には、能登半島地震、2日には、羽田空港での日本航空機炎上という私たちの命を脅かす脅威が、新年を寿ぐ心に鋭く突き刺さる結果となった。災害でお亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災された方々や負傷された方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、今も懸命に災害対応にご尽力されているすべての関係者の方々に、心から感謝を申し上げたい。

今年は、甲辰(きのえたつ)年。陰陽五行説によれば「甲」は、草木の成長を表しどんどん成長し勢いを増す意味があり、上り龍に称される如く、勢い成長する年となる願いが込められている。十二支の中で、唯一地球上に存在しない動物(?)である「龍・竜」が5番目の干支として位置づけられているが、現存する動物ではなく、自然界のチカラの象徴である竜に、「災い転じて福と為す」いう強い願いを託すことを古来の民は、「辰年」に祈り込めてきたのかも知れない。

新年早々からの天災、人災の脅威は、改めて今を生きる私たちに突き付けた大きな課題であり、政治の意味を根本から問い直す警鐘でもあろう。SNS等により政治家が等身大になり、より身近になってきた半面、政治家により高い哲学と行動規範が求められる時代に入ったといっても過言ではない。昨今、政治家の不祥事が後を絶たないが、今一度、「何のための政治」「誰のための政治」を肝に銘じなければならない。
ソクラテスの弟子であったプラトンは「国家論」の中で、「正しく真実に哲学する者が、政治的支配の地位につくか、現に権力を持っている人々が真実に哲学するようになるかいずれかが実現しない限りは、人類の不幸はやむことがないだろう」と言ったが、日本政治の未来を俯瞰する時、プラトンの箴言は一層重い意味を持って迫ってくる。

2023年12月 3日 (日)

絵本の復権

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11月30日は、絵本の日。

京都市が、11月30日の「絵本の日」に併せ、伝統産業と絵本コラボした「京都のモノ語りプロジェクト」の事業を昨年に引き続き実施することとなった。事業の主旨は、過去・現在・未来へ、工芸品を使うことで紡がれてきた生活文化・伝統文化や匠の技に込められたモノづくりへの想いである「ものがたり」を、絵本とコラボすることで、歴史の底流に流れる文化を、世代を超えて繋ぎ紡いでいくこととしているようだ。私も、高齢世代の仲間入りをしているが、改めて絵本のチカラを見直すきっかけになればと思っている。はずかしながら、11月30日が、「絵本の日」であることを初めて知った。この日が、絵本の日と制定されたのは、作家であり、評論家、翻訳家として有名な瀬田貞二さんが「絵本論」を発刊されたことに因み、日本記念日協会によって今からおよそ10年前の2012年に認定されたようだ。

瀬田貞二さんについて、絵本ナビライターの大和田佳世さんが、評論しているので、一部紹介しながら私見を述べたい。

絵本論」は、「ひとの最初に出会う本、それは絵本です」というニュージーランドのドロシー・ホワイトという図書館員の言葉の引用から始まります。詳しく引用すれば、「絵本は、子どもが最初に出あう本です。長い読書生活を通じて人の読む本のうちで、いちばん大切な本です。その子が絵本の中で見つけだす楽しみの量によって、生涯本好きになるかどうかが決まるでしょうから。またそのときの感銘が、大人になってそのひとの想像力をことあるごとに刺激するでしょう。だから、絵本こそ、力をつくして、最も美しい本にしなければなりません」…。
その上で、瀬田貞二さんは、「子どもたちを静かなところにさそいこんで、ゆっくりと深々と、楽しくおもしろく美しく、いくどでも聞きたくなるような素晴らしい語り手を、私たちは絵本と呼びましょう」と、絵本を定義し、「絵本は、小さい子どもたちにとって、手にとれる生き生きとした冒険の世界です」と語っています。瀬田貞二さんが、絵本について語り始めた1956年当時は、まだ絵本の市民権は、ない時代。全体的にはまだ絵本の評価が定まらない混乱期あったようです。そんな中で、瀬田さんは、平易、明快な論旨で欧米のすぐれた絵本や評論を紹介し、子どもを楽しませ、遊ばせ、冒険に誘い、元気づけ、世界を見、感じるチカラを助長させてやるもの、…そこに固有の文法があると論じたのです。

今、世界が、平和が、人権が、脅かされている時代に私たちは生きている。真の世界平和を創るために、国家間の対話をはじめ人道の連帯に多くの関係者が努力している。克服への道のりは長いかも知れないが、文化のチカラによる解決策が求められている中、「絵本のチカラ」をもう一度見直すべきではないかと感じた一人である。先行き不透明な時代であり、混迷する時代であるからこそ、瀬田さんが戦後の混乱期に主張したように、今こそ、絵本に親しみ、平和な心を育むべきなのかもしれない。絵本の復権を祈りたい。

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