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2007年6月11日 (月)

政治家の品格(指導者の条件)

Phm04_0620 藤原正彦氏が2005年頃に「国家の品格」を出版したが、それ以降それに反論する論調の書籍も出てきている。そんな折、6月9日の読売新聞に特別編集委員の橋本五郎氏の「五郎ワールド」コーナーに「政治家の品格を考える」と題したコラムが掲載されたが、非常に興味深く読んだ。

台湾の台北市長の李登輝さんが、後藤新平生誕150周年を記念して藤原書店が創設した「後藤新平賞」の第1回受賞者に決定し、受賞講演で示唆に富んだ講演をされたことを話題に、今の政治家のあるべき姿を提起されている。

橋本五郎氏はコラムの中で、ダンテの『神曲』を学ぶことの重要性を学者の論を通し訴え、「なぜ神曲を学ぶのか。それはクラシック(古典)に学ぶことを意味するとともに、ヒューマニズムを体得することに他ならないというものである。クラシックとは、ラテン語のクラシクスに由来し、クラシクスは艦隊を意味するクラシスから派生した形容詞だ。クラシスはローマの危機に際し、国家のために艦隊を寄付することのできる富裕で国家に役立つ人のことだった」と記している。またそれを人間に移し変え「人間が人生の危機に直面した時、精神の力を与える書物や作品をクラシクスと呼ぶようになった」とも記している。ここに政治家の品格の理念が示されている。ノーブレスオブリージュの考え方に通じるものである。

李登輝さんは受賞講演で、5つの指導者の条件を示した。第一に信仰を持っていなければならない。第二に権力はいつでも放棄できるように自制し、必要のない時は人民に返すべきである。第三に公私の別をはっきりさせなければならない。第四に誰もが嫌がる仕事を率先してやらなければならない。そして第五にカリスマを求めてはいけない。真心をもって正直に取り組まなくてはいけない。

そして李登輝さんが司馬遼太郎氏に語った言葉が印象的である。「権力を自分にひきよせるのではなく、まして自分が権力を客観化し、権力から役に立つものだけをひきだせばいい」と。

わが国の現在の政治状況を見るにつけ、「国家ありて人なし」ということを痛感する一人である。「美しい国」など「国家の品格」を求め議論することよりも、まず「政治家の品格」を謙虚に学ばなければならない。

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