指定管理者制度
9月定例会の議案で厚生委員会に付託された案件で、福祉施設の運営を指定管理者に委託をするものがあったが、地方自治体では一昨年から、民間の活力を活用することによって、市民サービスの質的向上と効率的運営を目指す目的で導入された指定管理者制度について議会でも相当議論をしてきた。
指定管理者を選定するプロセスの透明かつ公正化や、指定管理者の役員が公務員の天下りになっている課題、選定委員会におけるチェック機能の確保など、多くの課題を克服してきたが、今回の議案によって明らかになったことは、指定管理者委託協定締結後に、何か不適格な問題が指定管理者側に起こった際、市側が一方的に委託契約を解除できる条項が協定書に明文化されていないことである。
地方自治法の規定や、市の指定管理者に関わる運用方針には、一定の規定が整備されており、取り消しとなることは可能ではあるが、民間等の指定管理者に委託する際に正式に交わす協定書に、取り消し条項が明文化されていなかったのである。上位法律で取り消しが執行できることは理解できるが、民間と民間との契約では通らない話である。自治体が民間の活力を活用するという目的からすれば、まだまだ指定管理者制度は、地方自治体である「公」の側の論理で作り上げられている制度となっている。書類など事務の面においても民間の知恵と常識を公共事務に取り入れるべきである。
民間委託化が悪のようにいう人もいるが、さりとて民間委託化がすべてであるかのように言うのも問題である。求められていることは、行政の民営感覚化であり、民間の公共精神の再構築でなければならない。
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