2020年6月16日 (火)

多文化共生 『安里和晃』准教授と意見交換

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昨年、公明党京都市会議員団の政策研究として市長に提言を行った「多文化共生のまちづくり」について、京都大学大学院文学研究科准教授である安里和晃(あさと わこう)先生から当議員団に対して政策調査のため意見交換の要請があり、6月16日午後に意見交換会を開催しました。安里先生は、京都市の多文化共生のまちづくり推進プロジェクトチームのオブザーバーとして外国籍市民に関する諸施策について企画段階から助言指導をいただいている先生です。意見交換会では、安里先生から、私ども当議員団の提言に対しての感想やご意見を頂き、その上で質疑応答を通して今後の政策課題について議論をさせていただきました。私も「提言には盛り込めなかった条例の必要性の是非について」安里先生に問題提起をさせていただきました。多文化共生施策は全国比較しても多種多様な形をとっている。地域特性をふまえなければならないことと、そしてその都市が多文化共生施策に関して将来ビジョンをしっかりと持っておくことが必要不可欠であること。その目標(ビジョン)の市民と共有することがあってはじめて条例化という流れになるのではないかとのご所見を頂くことができました。また、意見交換会では、外国人における新型コロナの影響に関する分析の必要性についても議論がされました。

2020年6月15日 (月)

ポスト・コロナ考② ソーシャル・ディスタンス(Social distance)

5月12日は、世界看護の日であり、白衣の天使と称されたナイチンゲールの誕生日であり、今年で生誕200年にあたる。現代に生きる私達は、彼女の200年前の功績を、コロナという未曽有の難局の中で改めて認識することとなった。彼女の功績とともに、コロナ禍のリスクの中、医療現場で懸命に使命を果たされている医療従事者に対して、感謝してもしきれない思いである。

そのナイチンゲールは看護師としてクリミア戦争下の中、負傷した兵士を敵味方なく懸命に治療看護にあったことは誰もが知るところだが、彼女はまた数学者でもあったことを知る人は少ないのでは。収容先の軍の病院施設の不衛生により死んだ兵士が、戦闘の負傷で死んだ兵士よりも多いことを数理統計学を駆使して証明しつきとめた。そしてデータをグラフ化し陸軍の衛生改革の必要性を女王に進言したとされている。

彼女がもっとも重視したとされるのは、「換気」と「密の回避」である。彼女の慧眼は、200年後の今も、コロナ対策で苦闘する対策の土台となっている。ところで「人との距離」については、様々な研究がなされているが、文化人類学のエドワード・ホールは、人と人との距離について、近い順に「密接距離」「個体距離」「社会距離」「公衆距離」と分類している。密接距離とは、抱き合うほどの近さで、個体距離とは、お互いに手を伸ばせば触れあえ細かい表情も読み取れる近さ社会距離とは、数メートル離れ、相手には触れられないが事務的な用件は伝えられる程度の距離公衆距離とは、演説を聴くくらいの遠さ、としている。

しかし彼がこの理論を提唱した時代は1970年であることから考えれば、現在との「人との距離」もおける概念に大きな違いがある。すなわち、インターネット等、加速する情報通信技術が進展する中での距離感の違いだ。地球の裏側の友人とのネットを通しての会話は、物質的距離では一番遠い距離でありながら、生命的距離では最も近く密接距離である。逆にお隣さんでありながら縁遠い関係も多くなってきている。心理学の世界でも、パーソナルスペースというように、人との距離については空間の概念も加味しているように、距離=空間の関係について更なる研究が望まれるところだ。

もともと日本民族のルーツから見ても、集団生活を基本としてきただけに、ソーシャル・ディスタンスを確保することによるコミュニケーションの歪と変貌による課題も、今後顕在化してくるものと考えられる。ポストコロナにおける価値観の転換が求められる。次回は、コミュニケーションの変貌をテーマにしたい。

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